ステーブルコインとは
ステーブルコインは、価格変動が激しい一般的な暗号資産(仮想通貨)とは異なり、法定通貨や金などの特定の資産と価値が連動するよう設計された暗号資産です。その名前の通り「安定した(Stable)」価値を持つことが最大の特徴です。
多くのステーブルコインは、米ドルと1:1で価値を連動させており、1ステーブルコイン=1米ドルで取引されます。例えば、1USDCは常に1米ドルの価値を持つように設計されています。
ステーブルコインは「価格の安定性」と「ブロックチェーン技術の利便性」を両立させた画期的な決済手段として、暗号資産市場で重要な役割を果たしています。価格が安定しているため、支払いや価値の保存に適した設計となっており、国際送金や暗号資産取引の仲介通貨としても広く活用されています。
下記の記事によると、ステーブルコインは「米ドルなどの法定通貨のような特定の資産に価値を連動させた暗号資産(仮想通貨)・電子決済手段」と定義されています。こうした現実世界に存在する資産と価値が連動するように設計された暗号資産をリアルワールドアセット(RWA)とも呼んでいます。
【2025年最新】ステーブルコインとは?種類や仕組み、メリット・デメリット、将来性
ステーブルコインとは、法定通貨と価値が連動するよう設計されており、価値の急激な変動が起こりにくい資産です。本記事では、ステーブルコインの基本概念や種類と仕組み、最新動向、メリット・デメリット、将来性について解説します。
ステーブルコインの分類
ステーブルコインは、価格を安定させる仕組みによって主に3つのタイプに分けられます。それぞれ異なる特徴と安定性のメカニズムを持っています。
1. 法定通貨担保型
最も一般的なステーブルコインのタイプで、米ドルや日本円などの法定通貨を担保として保有します。
- 仕組み: 発行企業が同額の法定通貨や短期国債などの資産を準備金として保管し、1:1の価値でステーブルコインを発行します。
- 代表例: USDC(USD Coin)、USDT(Tether)、BUSD(Binance USD)など
- 特徴: 高い信頼性と透明性を持ち、価格の安定性が比較的高いとされています。
発行元がステーブルコインと同額の資金を保有し、価値の安定性を確保しているようです。そのため、高い信頼性と流動性を持ち、現時点におけるステーブルコインの暗号資産取引に関して普及が広がってきているといえるでしょう。
2. 暗号資産担保型
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を担保として使用します。
- 仕組み: 暗号資産を過剰担保(例:150%以上)として保有し、価格変動リスクに対するバッファーを確保します。
- 代表例: DAI、MIM(Magic Internet Money)など
- 特徴: 分散型で非中央集権的なシステムを採用しており、スマートコントラクトによる自動的な価格調整メカニズムを持っています。
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を担保としますが、価格変動に備えて、担保の資金を数倍確保するなどされているようです。
3. 無担保型(アルゴリズム型)
物理的な担保を持たず、アルゴリズムによって価格を安定させるステーブルコインです。
- 仕組み: 需給バランスに応じてコインの供給量を自動調整するアルゴリズムを使用します。
- 代表例: かつてのTerraUSD(UST)など
- 特徴: 担保資産が不要でスケーラビリティが高い一方、市場の急激な変動に弱く、過去に暴落事例も発生しています。
ステーブルコインの特徴
メリット
- 価格の安定性
ビットコインなどの暗号資産が短期間で大きく価格変動するのに対し、ステーブルコインは価値が法定通貨に連動するため相対的に安定しています。取引や決済の際に価値が急変するリスクが低く、実用的な決済手段として利用できます。
- 低コストで迅速な国際送金
銀行送金と比べて手数料が安く、24時間365日いつでも数秒〜数分で世界中に送金可能です。USDCの場合、送金手数料は1セント未満と非常に安価です。国境を越えた送金でも手続きが簡単で、中間業者を介さないため処理速度も速いのが特徴です。
- 資産の避難先・分散投資手段
暗号資産市場の急落時に、一時的に資産をステーブルコインに移すことで、価値を保全することができます。また、特に米ドル建てのステーブルコインを保有することで、実質的にドル資産を持つのと同様の効果が得られます。
- 法定通貨の代替としての可能性
インフレが激しい国や通貨価値が不安定な地域では、価値の安定したステーブルコインを日常的な支払い手段として利用する動きも見られます。
下記の記事によれば、「ステーブルコインには価格変動のリスクを抑えられる、資産の避難先にできる、低コストで国際送金できる、法定通貨の代替としての可能性があるという4つのメリットがあります。」と記載されています。
ステーブルコインはなぜ価値が安定する?仕組みと将来性をわかりやすく解説
安定した価格の実現を目的としてつくられた「ステーブルコイン」という仮想通貨(暗号資産)に、いま注目が集まっています。
デメリット
- 中央集権的リスク
法定通貨担保型のステーブルコインは、発行企業が実際に担保を保有しているかどうかに信頼性が依存します。過去にはテザー社(USDTの発行元)の準備金に関する不透明性が指摘されたこともありました。
- 規制リスク
各国の規制動向によって利用制限が設けられる可能性があります。日本では2023年6月の改正資金決済法により、外国発行ステーブルコイン(外国電子決済手段)に対して、取引1回あたり100万円までの移転制限が課されています。
- システムリスク
特にアルゴリズム型ステーブルコインでは、市場の急激な変動によって価格連動が維持できなくなるリスクがあります。2022年にはTerraUSDが暴落し、関連市場に大きな影響を与えました。
- 投機的リターンの欠如
価格が安定していることから、ビットコインなどのように価格上昇による投資利益を期待することはできません。
国内取引所での取り扱い状況
日本の暗号資産取引所におけるステーブルコインの取り扱いは、2023年6月の改正資金決済法施行後に徐々に進みつつあります。
現在取り扱いのあるステーブルコイン
- USDC(USD Coin)
- 取扱開始: 2025年3月26日からSBI VCトレードで一般向け取引開始
- 対応チェーン: イーサリアム
- 特徴: 日本円での購入が可能な唯一の米ドル連動型ステーブルコイン
- サービス内容: 販売所でのUSDC売買および入出庫が可能
- DAI
- 複数の国内取引所で取り扱いあり
- 特徴: イーサリアムなど暗号資産を担保に発行される分散型ステーブルコイン
- ZPG(ジパングコイン)
- 特徴: 金(ゴールド)の価値に連動したステーブルコイン
取り扱いの今後の見通し
日本におけるステーブルコインの取り扱いは、SBI VCトレードのUSDC取扱い開始を皮切りに拡大しつつあります。
海外での注目度合い
ステーブルコインは海外、特に米国を中心に急速に普及しており、暗号資産エコシステムの重要な基盤として認識されています。
市場規模の急成長
- 現在の時価総額: 2025年5月時点で約2,460億ドル(約35.5兆円)
- 成長率: 2020年の約200億ドルから約12倍に拡大
- 将来予測: シティグループのレポートでは、2030年までに基本シナリオで1.6兆ドル(約229兆円)、強気シナリオでは3.7兆ドル(約529兆円)にまで市場規模が拡大すると予測されています。
CoinPostによれば、「シティグループの最新レポートによると、ステーブルコイン市場の2030年における成長予測は、基本シナリオで1.6兆ドル(約229兆円)、強気シナリオで3.7兆ドル(約529兆円)、弱気シナリオで0.5兆ドル(約71兆円)」と予測されています。
主要ステーブルコインのシェア
- USDT(Tether): 約1,444億ドル、市場シェア約62%
- USDC(USD Coin): 約597億ドル、市場シェア約26%
- その他(BUSD、DAI、FDUSD など): 残り約12%
各国の規制動向
- 米国: 2025年現在、トランプ政権下でステーブルコインの法的規制枠組み構築が進行中。GENIUS法案など複数の規制法案が議会で審議されています。
- EU: MiCA(暗号資産市場規制)によるステーブルコイン規制が整備され、発行者に対する準備資産の透明性向上などが求められています。
- アジア: シンガポールなどがステーブルコインの規制枠組みを整備し、活用を促進しています。
近年、各国政府や企業がステーブルコインの活用に積極的な姿勢を示しており、決済インフラとしての実用性が高く評価されています。特に2025年に入り、米国トランプ政権が「米国を暗号資産の超大国にする」という方針を掲げたことで、さらに注目度が高まっています。
USDCとUSDTの違いとどちらが良いのか
USDC(USD Coin)とUSDT(Tether)は、いずれも米ドルと1:1で価値を連動させた法定通貨担保型のステーブルコインですが、いくつかの重要な違いがあります。
1. 発行元と透明性
USDC:
- 発行元: Circle社とCoinbase社が共同設立したCentre Consortium
- 透明性: 米国四大会計事務所による月次監査レポートを公開
- 準備資産: 100%現金および短期米国債で構成
USDT:
- 発行元: Tether社(英領ヴァージン諸島・香港拠点)
- 透明性: 四半期ごとの準備資産レポートを公開、イタリアの監査法人BDOによる検証
- 準備資産: 過去に不透明さが指摘されたが、現在は104%の過剰担保を主張
2. 市場シェアと流動性
USDC:
- 時価総額: 約597億ドル(市場シェア約26%)
- 取引所対応: 主要取引所で取り扱いあり
USDT:
- 時価総額: 約1,444億ドル(市場シェア約62%)
- 取引所対応: ほぼ全ての取引所で基軸通貨ペアとして利用可能
- 流動性: 最も流動性が高いステーブルコイン
3. 規制対応
USDC:
- 米国ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の認可取得
- EUのMiCA(暗号資産市場規制)に対応準備中
- 規制準拠に積極的な姿勢
USDT:
- 過去にニューヨーク州との法的問題あり(事業禁止・罰金)
- 規制対応は相対的に消極的とされる
4. 手数料構造
USDC:
- 1日あたり200万ドル未満の償還で手数料無料
- 大口取引でも銀行送金オプションで0%手数料
USDT:
- 発行体直接償還は最低10万USDT〜、0.1%または1,000USD相当の手数料
5. どちらが良いか
どちらが優れているかは、利用目的によって異なります:
- 安全性・透明性重視: USDCの方が準備金の透明性が高く、規制対応も積極的なため優位性があります。
- 流動性・利用範囲重視: USDTは市場シェアが圧倒的に大きく、ほぼすべての取引所で利用可能なため便利です。
日本国内では、現在USDCのみがSBI VCトレードで正規に取り扱われていることも、選択の際の判断材料となるでしょう。
今後の将来性について
ステーブルコインは、暗号資産市場のみならず、従来の金融システムをも変革する可能性を秘めています。
1. 市場規模の拡大見通し
- シティグループの予測では、2030年までに基本シナリオで1.6兆ドル(約229兆円)、強気シナリオで3.7兆ドル(約529兆円)にまで市場拡大する見込み
- ステーブルコインの総供給量は2025年2月時点で2,250億ドルを突破し、前年比63%の急成長を記録
CoinPostによると、「こうした要因により、2030年のステーブルコイン市場規模について、基本シナリオで1.6兆ドル(約229兆円)、強気シナリオでは3.7兆ドル(約529兆円)、弱気シナリオでは0.5兆ドル(約71兆円)と予測している。」
2. 期待される用途拡大
- クロスボーダー決済
国際送金市場において、ステーブルコインは銀行送金に比べて速度と手数料の面で大きなメリットを持ち、特にリミッタンス(海外送金)市場での活用が期待されています。
- DeFi(分散型金融)
ステーブルコインはDeFi生態系の基盤として、レンディング(貸出)、流動性提供、イールドファーミング(収益獲得)などのサービスで中心的役割を果たし続けると予想されます。
- 日常的な決済
実店舗でのステーブルコイン決済や、オンラインショッピングでの利用拡大が進む可能性があります。特に米国ではトランプ政権下での規制整備によって、実用化が加速すると見られています。
- 資産のトークン化
不動産や株式などの伝統的資産をブロックチェーン上でトークン化する動きと連動し、その決済手段としてステーブルコインが活用される可能性があります。
3. 日本国内での展望
- 2023年6月の改正資金決済法施行により、日本でもステーブルコインの法的位置づけが明確化
- SBI VCトレードがUSDC取り扱いを開始したことで、今後他の取引所も追随する可能性が高い
- Circle社とSBIホールディングスの合弁会社設立計画など、ステーブルコインの国内普及に向けた動きが加速
「今後、合弁会社を中心に、日本におけるステーブルコインの利用環境整備が本格化し、USDCは「日常的に使えるデジタルドル」としての役割を担っていく可能性が高いでしょう。」と予想されています。
4. 規制環境の整備
- 米国ではトランプ政権下でステーブルコイン法案(GENIUS法案など)が進行中
- 世界各国で規制の明確化が進み、適切な監督下での健全な発展が期待される
- 日本では電子決済手段等取引業のライセンス制度が確立され、制度的な環境が整いつつある
5. 主権通貨としての可能性
- 将来的には一部の国がステーブルコインを準国家通貨として採用する可能性もある
- 特に自国通貨の信頼性が低い新興国などで、米ドルに連動したステーブルコインが実質的な決済手段として普及する可能性がある
以上のように、ステーブルコインはその安定性と利便性から、今後も暗号資産市場の重要な基盤として、さらには伝統的金融システムを補完・代替する手段として、さらなる発展が期待されています。
特に米ドル建てステーブルコインは、2030年までに世界の決済インフラの一部として広く定着する可能性が高く、個人投資家にとっても、暗号資産取引や国際送金、資産保全の手段として重要な選択肢となるでしょう。
ステーブルコインは、暗号資産がもたらす技術革新と法定通貨の安定性を組み合わせた革新的な金融ツールです。2025年現在、急速に市場規模を拡大しており、今後も金融のデジタル化の流れとともに普及が加速すると予想されています。日本では規制環境の整備とともにUSDCの取り扱いが始まり、今後さらに利用しやすい環境が整っていくことが期待されます。
暗号資産に興味を持ち始めた初心者の方にとって、ステーブルコインは価格変動が少なく比較的リスクの低い入門として、また暗号資産市場の仕組みを理解する上で重要な知識となるでしょう。
参考文献・参考サイト
- SBI VCトレード. "【2025年最新】ステーブルコインとは?種類や仕組み". https://www.sbivc.co.jp/columns/content/qjfxmm2fit
- SBI VCトレード. "暗号資産市場で主要なステーブルコインUSDCとUSDTを5つの観点から徹底比較". https://www.sbivc.co.jp/columns/content/c25kp04ihv
- SBI VCトレード. "USDC|SBI VCトレード|暗号資産(仮想通貨)・口座開設". https://www.sbivc.co.jp/usdc
- CoinPost. "ステーブルコイン「USDC」の買い方と特徴|SBI VCトレードでの購入方法と使い道". https://coinpost.jp/?p=598359
- CoinPost. "ステーブルコイン市場、2030年まで最大500兆円規模へ シティが予測". https://coinpost.jp/?p=611334
- CoinDesk Japan. "ステーブルコインが変える日本の送金・決済の未来 有望ユースケースを探る". https://www.coindeskjapan.com/289719/
- デジタルシフト. "ステーブルコインはなぜ価値が安定する?仕組みと将来性をわかりやすく解説". https://digital-shift.jp/flash_news/s_220711_3
- 松本インキュベーション研究所. "日本で買えるステーブルコイン一覧比較!取引所での買い方・購入方法も解説". https://matsumoto-inc.co.jp/nft-media/stablecoin-buy/
- あたらしい経済. "SBI VCトレードがUSDCの一般向け取扱開始". https://www.neweconomy.jp/posts/461878
- JP.CoinTelegraph. "2025年のステーブルコイン予測". https://jp.cointelegraph.com/news/stablecoin-predictions-2025-payments-regulations-l2
- テザー公式. "Understanding Tether's Peg and Reserves". https://tether.io/news/understanding-tethers-peg-and-reserves/
- Circle公式. "透明性ページ". https://www.circle.com/transparency
- ブルームバーグ. "トランプ米大統領、ドル裏付けとするステーブルコイン支援を表明". https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-08/SSSLICT0G1KW00
- アビームコンサルティング. "2025年はステーブルコイン元年!金融以外にも広がる経済圏。2,000億ドル超え市場に日本はどう立ち向かうのか". https://www.abeam.com/jp/ja/news/2025/nf05/